小規模事業者持続化補助金は令和2年に追加的な措置が非常に多く施されさらに魅力的な補助金となっております。
事業の販路拡大の取り組みを後押ししてくれる補助金を是非検討してみてください。
小規模事業者持続化補助金は、ホームページの新規作成やリニューアル、チラシや看板等の作成、展示会への出展、開発費用、内装工事等々、中小企業の販路拡大に結び付く活動にかかる費用を幅広く補填してくれる補助金です。
しかし申請したもの全てが補助を受けられるわけではなく、受給には採択を受ける必要があります。
この小規模事業者持続化補助金の支給上限額は原則50万円ですが、令和2年1月1日以後に設立された法人や同日以後に事業を開始した個人事業主の支給上限額は100万円とされており、創業者に非常に有利な制度となっております。
また、令和2年度からは新型コロナウイルス感染症に対する取り組みを行うことで支給上限額が100万円となる「コロナ特別対応型」が設けられており、今現在においては、従来の「一般型」と「コロナ特別対応型」の二つの制度が同時に設けられていることに注意が必要です。
さらに、令和2年5月より、「一般型」、「コロナ特別対応型」のいずれにも、「事業再開枠」として新型コロナウイルスの感染防止対策の取り組みをした場合には別枠で50万円が上乗せされることになりました。
加えて、令和2年6月より、クラスター対策が特に必要な一定の事業者(特例事業者)についてはさらに50万円が「一般型」、「コロナ特別対応型」のいずれにも上乗せされることになりました。
この小規模事業者持続化補助金は、昨年まで年に1度の公募であったものが通年の公募となり非常に申請がしやすくなっております。
今回のコラムではこの令和2年度の改正を踏まえた小規模事業者持続化補助金の制度内容についてご紹介させていただきます。
小規模事業者持続化補助金を申請できる対象会社は以下の要件を満たす事業者です。
・卸売業、小売業、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む事業者で、常時使用する従業員数が5人以下であるもの
・宿泊業・娯楽業のサービス業、製造業その他の事業を営む事業者で、常時使用する従業員数が20人以下であるもの
注1)上記の従業員数には、法人の役員を除き、使用人兼務役員は含まれます。個人事業主本人とその同居する親族従業員は除かれます。また、勤務時間の短いパートタイム労働者も除かれます。
注2)対象となる事業者に、企業組合、協同組合は含まれますが、医師、歯科医師、助産師、一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、公益財団法人、医療法人、宗教法人等は含まれません。
小規模事業者持続化補助金の「一般型」の補助上限額は50万円※で、補助率は2/3です。
例えば、使った経費が45万であった場合、45万円×2/3=30万円が50万円の範囲内なので補助額は30万円となります。
例えば、使った経費が120万円であった場合、120万円×2/3=80万円が50万円を超えているので補助額は50万円となります。
※令和2年1月1日以後に設立された法人と同日以後に事業を開始した個人事業主の補助上限額は100万円に増額されています。
補助の対象となる経費は以下に該当する経費です。
・機械装置等費:事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
・広報費:パンフレット・ポスター・チラシ等を作成するため、および広報媒体等を活用するために支払われる経費
・展示会等出展費:新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費
・旅費:事業の遂行に必要な情報収集や販路開拓等のための旅費(ただし公共交通機関に限るものとし、高速代やガソリン代、車のリース料は除かれます)
・開発費:新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
・資料購入費:事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費(ただし購入単価が1冊税込み10万円未満のものに限られます)
・雑役務費:事業遂行に必要な業務・事務を補助するために補助事業期間中に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費
・借料:事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費
・専門家謝金・旅費:事業遂行に必要な指導・助言の為に専門家等に支払われる経費や旅費(なお、本事業への応募書類作成代行費用は補助対象となりません)
・設備処分費:販路開拓の取組を行うための作業スペースを拡大する等の目的で設備機器等を廃棄・処分する等の際に原状回復等するのに必要な経費
・委託費:上記に該当しない経費であって、 事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費
・外注費:上記に該当しない経費であって、 事業遂行に必要な業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費(店舗の改装等、自ら実行することが困難な業務に限ります。)
令和2年4月より、補助対象経費の1/6以上を以下A~Cの事業に充てておれば、補助上限額を100万円にする「コロナ特別対応型」が設けられました。
現在、「一般型」と「コロナ特別対応型」の二つの制度が併存していますが、「一般型」と「コロナ特別対応型」のどちらか一方しか申請することはできません。
A:サプライチェーンの毀損への対応 補助率2/3
以下は取組のイメージです。
・外部からの部品調達が困難であるため、内製化するための設備投資
・製品の供給を継続するための 投資
・コロナの影響により、生産 体制を強化するための 設備投資
・他社が営業停止になったことに伴い、新たな製品の生産要請に応えるための投資
B:非対面型ビジネスモデルへの転換 補助率3/4
以下は取組のイメージです。
・店舗販売をしている事業者が、新たにEC販売に取り組むための投資
・店舗でサービスを提供している事業者が、新たにVR等を活用してサービスを提供するための投資
・有人で窓口対応している事業者が、無人で対応するための設備投資
・非対面型・非接触型の接客に移行するために行うキャッシュレス決済端末の導入等
C:テレワーク環境の整備 補助率3/4
以下は取組のイメージです。
・WEB会議システムの導入
・クラウドサービスの導入
通常、補助金の対象となる経費は、交付が決定した後の費用に限られますが、「コロナ特別対応型」においては特例として、令和2年2月18日以降に発生した経費を遡って補助対象経費とすることが認められることになっています。
なお、令和2年2月18 日以降に開業した者は、開業日以降に発生した経費に限り、補助対象経費として認められます。この措置は「一般型」にはない措置となります。
令和2年5月より、業種別の感染拡大予防ガイドラインに沿って、以下の感染予防対策を実施する事業者に、「事業再開枠」として別枠で50万円が追加で補助されることになりました。補助率は10/10です。
この「事業再開枠」の追加補助は、「一般型」及び「コロナ特別対応型」のどちらにも上乗せが可能です。
通常、補助金の対象となる経費は、交付が決定した後の費用に限られますが事業再開枠については、特例として令和2年5月14日以降に発生した経費を遡って補助対象経費とすることが認められることになっています。
(取組事例)
・消毒費用:消毒設備(除菌剤の噴霧装置、オゾン発生装置、紫外線照射機等)の購入費、消毒作業の外注費、 消毒液・アルコール液の購入費
・マスク費用:マスク・ゴーグル・フェイスシールド・ヘアネットの購入費
・清掃費用:清掃作業の外注費、 手袋・ゴミ袋・石けん・洗浄剤・漂白剤の購入費
・飛沫対策費用:アクリル板・透明ビニールシート・防護スクリーン・フロアマーカーの購入費・施工費
・換気費用:換気設備(換気扇、空気洗浄機等)の購入費
・その他衛生管理費用:ユニフォームのクリーニング代、使い捨てアメニティ用品 、体温計・サーモカメラ・キーレスシステム・インターホン・携帯型アルコール検知器等の購入費
・PR費用(感染防止のための注意喚起に要する費用):ポスター・チラシの外注・印刷費
令和2年6月より、クラスター対策が特に必要と考えられる施設 で事業を行う事業者 (以下「特例事業者」という)については、さらに上限額が50万円上乗せされました。
クラスター対策が特に必要な事業とは、具体的には、室内運動施設、バー、カラオケ店、ライブハウス、接待を伴う飲食店が該当します。
この特例事業者の50万円の上乗せ措置は、「一般型」及び「コロナ特別対応型」のどちらにも上乗せされます。
この「特例事業者」として上乗せされた50万円については、「一般型」の本事業の補助上限額50万円(令和2年1月1日以降に事業を開始した事業者の補助上限額は100万円)に上乗せしてもよいし、上記の「事業再開枠」に上乗せしてもよいし、双方に配分することもできます。(ただし上乗せ後の本事業分を「事業再開枠」が超えることは認められません)
他方、「コロナ特別対応型」の場合には、「コロナ特別対応型」の補助上限額100万円に上乗せしてもよいし、上記の「事業再開枠」に上乗せしてもよいし、双方に配分することもできます。(ただし上乗せ後の本事業分を「事業再開枠」が超えることは認められません)
「一般型」の場合でも「コロナ特別対応型」の場合でも、どちらに上乗せするかや、双方にどのように配分するかは事業者の事業計画に従うところとなりますが、補助率(「一般型」2/3、「コロナ特別対応型」2/3もしくは3/4、事業再開枠10/10)の違いには注意が必要と思われます。
以上を踏まえてトータルの補助上限額を考えると、「一般型」の特例事業者に該当する事業者は、本事業分50万円+事業再開枠50万円+特例事業者分50万円=150万円が最大となりますが、令和2年1月1日以降に事業を開始した特例事業者の場合は、本事業分100万円+事業再開枠50万円+特例事業者分50万円=200万円が最大となります。
また、「コロナ特別対応型」の特例事業者に該当する事業者は、本事業分100万円+事業再開枠50万円+特例事業者分50万円=200万円が最大となります。
「一般型」の令和2年8月3日現在発表されている今後の応募受付締切スケジュールは以下の通りです。
第3回: 令和2年10月2日(金) 第4回: 令和3年2月5日(金)
第5回: 令和3年6月初旬頃 第6回: 令和3年10月初旬頃
第7回: 令和4年2月初旬頃 第8回: 令和4年6月初旬頃
第9回: 令和4年10月初旬頃 第 10 回: 令和5年2月初旬頃【最 終】
「コロナ特別対応型」の令和2年8月3日現在発表されている今後の応募受付締切スケジュールは以下の通りです。
第3回: 令和2年8月7日(金) 第4回: 令和2年10月2日(金)
小規模事業者持続化補助金の制度内容について説明させていただきましたが、令和2年に補助枠が非常に広がった反面、制度としてはかなり複雑なものとなりました。
しかし補助枠が広がったことは大きなチャンスです。
申請をしたもの全員が採択されるとありがたいのですが、残念ながら申請した書面は点数化され上位のものから採択されることになります。
加点を得て高得点を取るにはいくつものポイントがありますし、年度によって加点項目も変わります。
しっかり公募要領を確認しポイントを押さえた事業計画書等を作成し、申請に臨みましょう。
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