小規模事業者持続化補助金は地道な販路拡大に対する経費を補助するものではありますが、どのような経費が補助対象経費となるかをしっかり理解していないと期待している補助が得られないこともありますので事前にしっかり確認しておくべきでしょう!!
小規模事業者持続化補助金の全般的な制度の説明については以前のコラムでご紹介させていただきました。
小規模事業者持続化補助金について、私共がよく質問を受けるのが、どのような支払いが補助金の対象となるのでしょうか?というものです。
確かに小規模事業者持続化補助金は地道な販路拡大に対するものを補助の対象としていますがどのようなものが補助対象となるのかご存じでない方が多いのではないでしょうか。 独立行政法人中小企業基盤整備機構が公表している公募要領では、補助対象となる経費は以下の経費でありそれ以外の経費は補助の対象とはならないとしています。
①機械装置等費 ②広告費 ③展示会等出展費 ④旅費 ⑤開発費 ⑥資料購入費 ⑦雑役務費 ⑧借料 ⑨専門家謝金 ⑩専門家旅費 ⑪設備処分費 ⑫委託費 ⑬外注費
そして上記の経費については次の三つの要件を満たしていることが大前提となります。
1、使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
2、交付決定日以降に発生し対象期間中に支払いが完了した経費
3、証拠資料等によって支払金額が確定できる経費
今回のコラムでは、特に本事業(一般型)の補助対象となる経費について確認したいと思います。
コロナ対応型や事業再開枠に特有の補助対象となる経費についての説明は紙面の都合上別の機会に譲ります。
【補助対象経費の例】
・高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェア
・衛生向上や省スペース化のためのショーケース
・生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫
・新たなサービス提供のための製造・試作機械(特殊印刷プリンター、3Dプリンター含む)
・販路開拓等のための特殊業務用ソフトウエア(精度の高い図面提案のための設計用3次元CADソフト、販促活動実施に役立てる顧客管理ソフト等)
・ブルドーザー、パワーショベル等の自走式作業用機械設備
【補助対象外経費の例】
・自動車等車両(例外あり)
・汎用性のあるもの(自転車・文房具等の事務用品等の消耗品代・パソコン・事務用プリンター・複合機・タブレット端末・WEBカメラ・ウェアラブル端末・電話機・家庭及び一般事務用ソフトウェア)
・機械装置等の販売や賃貸を業とするものが、その機械装置等を販売、賃貸、見本品等とするための仕入れや購入
・ソフトウェアや機械装置等の買い替えや更新のための経費
・船舶、動植物
・単価50万円(税抜き)以上の中古品
【注意】
・単価100万円(税抜き)超の新品は複数の見積もりが必要です。なお中古品は金額にかかわらず複数の見積もりが必要になります。
・単価50万円(税抜き)以上の機械装置等の購入は「処分制限財産」に該当し、一定の期間(通常は取得日から5年間)において補助事業目的外での使用、譲渡、担保提供、廃棄等が制限されることがあるので注意が必要です。
【補助対象経費の例】
・ウェブサイトの作成や更新
・チラシ・DM・カタログの外注や発送
・新聞・雑誌・インターネット広告
・看板の作成や設置
・販売用商品と明確に異なる試供品や商品・サービスの宣伝広告が掲載されている販促品
【補助対象外経費の例】
・販売商品と同じ試供品や商品・サービスの宣伝広告が掲載されていない販促品
・名刺
・商品・サービスの宣伝広告を目的としない看板・会社案内パンフレットの作成・求人広告
・文房具等の事務用品等の消耗品代
・金券・商品券
・補助対象期間内に配布されなかったチラシ等の配布物や同期間内に掲載されなかった広告等
・フランチャイズ本部が作成する広告物の購入
・売上高や販売数量等に応じて課金される経費
・ウェブサイトのSEO対策等で効果や作業内容が不明確なもの
【注意】
・補助事業計画に基づく商品・サービスの広報を目的としたものが補助対象であり、単なる会社のPRや営業活動に費やされる経費は補助対象とはなりません。
・単価50万円(税抜き)以上で作成したウェブサイト等は「処分制限財産」に該当し、一定の期間(通常は取得日から5年間)において補助事業目的外での使用、譲渡、担保提供、廃棄等が制限されることがあるので注意が必要です。
【補助対象経費の例】
・新商品等を展示会等に出展するための経費または商談会に参加するために要する経費
・出展等に関連して要する運搬費(レンタカー代、ガソリン代、駐車料等は除く)・通訳料・翻訳料
【補助対象外経費の例】
・国等から一部助成を受ける場合の出展料
・販売のみを目的とし販路拡大につながらない出展料 ・選考会、審査会(○○賞)等 への参加 ・申込費用
・飲食費を含んだ商談会等参加費
・補助事業期間外に開催される展示会等の経費
【注意】
・展示会等の出展については、出展 申込みは交付決定前でも構いませんが、 請求書の発行日や出展料等の支払日が交付決定日より前となる場合は補助対象となりません。
【補助対象経費の例】
展示会への出展や、新商品生産のために必要な原材料調達の調査等に要する旅費で以下のもの
・宿泊施設への宿泊代
・バス運賃
・電車賃
・新幹線料金(指定席購入含む)
・航空券代( 燃油サーチャージを含み、エコノミークラス分の料金までが補助対象)
・航空保険料
・出入国税
【補助対象外経費の例】
・日当
・公共交通機関以外の利用にかかった経費(ガソリン代、 駐車場代、 タクシー代、高速料金等)
・グリーン車やビジネスクラス等の付加料金分
・朝食付き ・温泉入浴付き宿泊プランにおける朝食料金 ・入浴料相当分
・視察・セミナー等参加のための旅費
・パスポート取得料
【注意】
・出張報告の作成等により、必要性が確認できるものが補助対象となります。通常の営業活動に要する経費とみなされる場合は対象外となります。
【補助対象経費の例】
・新製品や 商品の試作開発用の原材料の購入
・新たな包装パッケージに係るデザインの外注
・業務システム開発の外注
【補助対象外経費の例】
・文房具等の事務用品等の消耗品代
・(開発や試作ではなく)実際に販売する商品を生産するための原材料の購入
・試作開発用目的で購入したが補助事業期間内に使い切らなかった材料分
・デザインの改良等をしない既存の包装パッケージ の印刷や購入
・(包装パッケージの開発が完了し)実際に販売する商品や製品を包装するために 印刷・購入するパッケージ分
【補助対象経費の例】
・事業遂行に必要不可欠な図書等の購入で取得単価10万円(税込み)未満のもの
【補助対象外経費の例】
・2社以上の相見積もりのない中古書籍
・同じ図書の複数購入
【補助対象経費の例】
・事業遂行に必要な業務・事務を補助するために補助事業期間中に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費
【補助対象外経費の例】
・アルバイト従業員への支払給料等を雑役務費として計上した後、当該アルバイト従業員に社会保険を適用させ正規型の従業員として雇い入れる場合等
・通常業務に従事させるための雇い入れ
【注意】
・実績報告の際に、作業日報や労働契約書等の提出が必要となります。
【補助対象経費の例】
・事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料
・事務所賃料は原則補助対象とならないが、新たな販路開拓の取り組みの一環として新たに事務所を賃借する場合には対象となることがあります
・事業遂行のため、商品やサービスのPRイベントのための会場を借りる費用
【補助対象外経費の例】
・自主事業など補助事業以外にも使用するリース料・レンタル料
・通常の生産活動のために使用するもの
・既存の事務所賃料
【注意】
・借用のための見積書、契約書等が確認できるもので、本事業に要する経費のみとなります。
・契約期間が補助事業期間を越える場合は、按分等の方式により算出された補助事業期間分のみとなります。
【補助対象経費の例】
・事業遂行に必要な指導・助言を受けるために依頼した専門家等に支払われる謝礼等
・マーケティング、ブランド構築、広告宣伝等について専門家等 から受ける指導や助言
【補助対象外経費の例】
・本事業への応募書類作成代行費用
・セミナー研修等の参加費用や受講費用等
事業遂行に必要な指導・助言等を依頼した専門家等に支払われる旅費で、補助対象の適否は「④旅費」を参照
【補助対象経費の例】
・販路開拓のための作業スペース確保のために要する、既存事業において使用していた設備機器等の解体・処分費用
・既存事業において借りていた設備機器等の返却時の修理・原状回復費用
【補助対象外経費の例】
・既存事業における商品在庫の廃棄・処分費用
・消耗品の処分費用
・自己所有物の修繕費
・原状回復の必要がない賃貸借の設備機器等
【注意】
・「設備処分費」の補助対象経費への計上額には上限が設けられているため注意が必要です。
【補助対象経費の例】
・事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託するために支払われる経費
・コンサルタント会社等に支払われる市場調査料等
・⑨専門家謝金に該当する指導や助言以外の業務を委託した専門家等に対する謝礼等
【補助対象外経費の例】
・やろうと思えば自ら実行可能な業務の委託
・市場調査の実施にともなう記念品代、謝礼等
【補助対象経費の例】
・事業遂行に必要な業務の一部を第三者に外注して行う店舗改装・バリアフリー化工事・利用客向け トイレの改装工事
・製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事
・移動販売等を目的とした車の内装・改造工事等
・従業員の作業導線改善のための従業員作業スペースの改装工事
【補助対象外経費の例】
・補助事業で取り組む販路開拓や業務効率化に結びつかない工事
・単なる店舗移転のための工事
・住宅兼店舗の改装工事における住宅部分の解体工事
・既存の事業部門の廃止にともなう設備の解体工事
・増築等、建物等の不動産の取得に該当する工事
・やろうと思えば自ら実行可能な業務の外注
【注意】
・店舗改装において50万円(税抜き)以上の外注工事を行う場合等は「処分制限財産」に該当し、一定の期間(通常は取得日から5年間)において補助事業目的外での使用、譲渡、担保提供、廃棄等が制限されることがあるので注意が必要です。
小規模事業者持続化補助金は経費を使おうと考えている期間と補助事業期間がうまくかみ合えば販路拡大を目指す多くの事業者にとって利用しやすい補助金であるとともに、販路の開拓を急ぐスタートアップ企業についても利用勝手のいい補助金です。
しかし上記で説明してきた通り販路の拡大や開拓に要する経費であればどのような経費についても補助対象となるものではないので、どのような経費が補助対象経費になるかを十分認識したうえで自社の繁栄につながる計画を描くようにしましょう!!
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