起業した最初の年の確定申告は?
期限は3月15日!(2020年は3月16日)
期限までに確定申告できるよう、初めての事業所得の申告に備えましょう!
個人の確定申告は、対象となる年の翌年2月16日から3月15日(2020年は2月17日(月)~3月16日(月))の間に行うことになっています。
サラリーマンの方は、お勤め先で年末調整という手続きをしてもらうことにより年間の所得税の計算が完了します。ただし、ふるさと納税をしたり医療費控除があったりという方は、税金の還付を受けるために確定申告をするケースもあります。
年初はサラリーマンだった方が、年の途中で起業して個人事業主となった場合、上記のような還付申告の経験があったとしても事業の関係の確定申告は初めてとなります。
どのように申告すればいいのか、そもそも申告が必要なのか、わからないことだらけという起業された個人事業主の方へ、起業初年度の確定申告のポイントについて解説させていただきます。
年の初めにサラリーマンだった方が、年の途中で起業した場合には、その年は給与所得と事業所得があるということになりますので、この二つの所得を合算して確定申告をする必要があります。
給与所得については、その年の給与所得の源泉徴収票が必要になりますので、お手元にない方は勤務していた事業所に依頼しましょう。
起業して数ヶ月しか経っておらず、どう考えても収入よりも経費が多いから確定申告はいらないんじゃないかと思っている方もおられるかもしれません。
事業所得がマイナスなら確かに確定申告しなくてもいいかもしれません。 しかし、年の途中で起業した個人事業主の方が、赤字でも確定申告をするべき大きな理由があります。
①起業するまでの給与収入で源泉所得税が引かれている場合
事業所得がマイナスであれば、確定申告することにより給与から引かれていた税金が返ってくる可能性が高いです。
②青色申告の届出を提出している場合
届出については後述しますが、起業された際に、管轄の税務署へ青色申告の承認申請書というものを提出している場合、事業所得の赤字金額を給与所得と合算しても相殺しきれなかった金額を翌年以降に繰り越すことが出来ます。繰り越したマイナス金額は、その後3年間の所得から控除することができます。
③確定申告をしなければ、その年の所得を証明できるものがない
銀行や取引先などに所得を証明するものとして、前年の確定申告書の提示を求められることがあります。確定申告をしていなければ出せるものがありません。個人事業主の場合、所得を証明できるものは確定申告が基となりますので、確定申告しなければ所得を証明できる公的書類がないということに注意しましょう。
起業したときに税務署へ提出する届出書はいろいろありますが、その中で必ず必要になるのが『開業届(開廃業等の届出書)』です。こちらは開業日から1ヶ月以内に提出する必要があります。
開業届と一緒に出される方が多いのが、『青色申告の承認申請書』です。この申請書は、業務を開始した日から2ヶ月以内に提出する必要があります。 この申請書を出し忘れていた場合は、翌年3月15日までに提出することにより、翌年の事業所得の申告では青色申告ができるということになります。
青色申告の承認申請書を提出するとどうなるかについては次に説明させていただきます。 なお、これ以外にも必要な届出がいくつかありますので、詳細についてはぜひ以前のコラムをご参照ください。
「青色申告」、「白色申告」という言葉をご存知でしょうか。
上記の「青色申告の承認申請書」というものを期限までに提出している方は「青色申告」となり、提出されていない方は「白色申告」となります。
では、青色申告とは何でしょうか?
青色申告というのは、簡単に言うと、事業に関係する取引全てを正規の簿記の原則というものに従って帳簿に記帳することにより、税制上の特典(節税できる特典)が受けられる申告方法です。 その税制上の特典の主なものとして次のようなものがあります。
①青色申告特別控除
ケースによって異なりますが、事業所得の金額から最高65万円の控除を受けることができます。
②青色事業専従者給与の必要経費算入
聞きなれない言葉かもしれませんが、簡単に言うと、起業した個人事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上の親族でその事業に携わっている方に支払った給与を事業所得の経費にできるというものです。ただし、ご家族に給与を支払って経費にしようとする場合は、あらかじめ税務署へ届出が必要になりますのでご注意ください。(届出せずに支払った場合は経費にできません)
③赤字の繰越
先程も少し紹介しましたが、赤字の金額を翌年以降3年間繰り越すことが出来ます。繰り越すことにより、翌年以降の所得がプラスになった場合、そのプラス金額から差し引くことができ、節税となります。
なお、白色申告の場合にも収入や経費について帳簿をつけて、それを保存しておく義務があります。
確定申告のときに事業所得を計算する用紙は、青色申告の場合は「青色申告決算書」というものを使用し、白色申告の場合は「収支計算書」という用紙を使用することになります。
早めに書類を入手し、書類がどのようなものか確認し、記載方法を把握しておきましょう。
いずれの申告方法による場合も、起業してからその年の12月31日までの事業の収入と事業に係る必要経費を集計し、その差引額を計算することになります。
起業してから収入や経費をこまめに記帳しているといいのですが、初めての場合はやり方もわからず、放ったらかしという方も多いでしょう。
起業してからは、収入や経費の請求書や領収書をしっかり残しておかないと、この事業所得の計算が困難になります。
起業された個人事業者は、書類を残しておくクセをつけましょう。そして少しずつ記帳しておくと確定申告時期の負担が楽になります。
苦手な方は税理士に依頼することにより、アドバイスを受けたり作業を軽減することが可能になります。
今まで年末調整の時に勤務先に提出していた生命保険料の控除証明書や地震保険料の控除証明書も、起業してからご自身の確定申告で使用していただくことになります。
確定申告をする際は次のようなものを準備し、申告していただくことにより、事業所得や給与所得などの所得金額から控除することができ、税負担が軽減されます。
≪代表例≫
①生命保険料の控除証明書 ⇒ 生命保険料控除
②地震保険料の控除証明書 ⇒ 地震保険料控除
③国民年金の控除証明書 ⇒ 社会保険料控除
④国民健康保険料の納付書等 ⇒ 社会保険料控除
⑤小規模企業共済等掛金の控除証明書 ⇒ 社会保険料控除
⑥ふるさと納税の寄付金受領証明書 ⇒ 寄付金控除
⑦医療費の領収書 ⇒ 医療費控除
上記のほか、扶養家族の状況により配偶者控除や扶養控除などの控除項目もあります。
確定申告をすると、その金額をもとに所得証明書が発行されたり、確定申告をした年の国民健康保険料や住民税、個人事業税が決まったりします。
また、最初にお話しさせていただいたように、銀行で融資を受ける場合などには過去数年分の確定申告書の提出を求められたりしますので、申告した申告書の控えは必ず保管しておいていただく必要があります。
収入や経費に関する書類や記帳した帳簿書類も、税務上7年間(一定のものは5年間)保存していただく義務があります。
事業で利益が出ていれば当然確定申告をしなければなりませんので、期限までに確定申告のために必要な書類を準備し整理していただかなければなりません。
確定申告のためだけでなく、起業して長く事業を続けていきたい、事業を拡大したい、事業基盤を強くしたいという方は、事業の収入と経費をしっかりと帳簿につけて集計し、起業後の毎年の事業の業績を把握していくことは必要不可欠なことです。
京都 創業融資・創業支援フルサポートでは、日々多くの融資や事業に関するご相談をいただく上で、創業に関するご相談はもちろん、確定申告に向けて適切なアドバイス・サポートを実施させていただいております。
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