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創業融資専門家コラム

2020.09.03
【起業した方へ】初めて給与を支払うことになったら?

 

給与をもらう側から支払う側になったら!?

人を雇い、給与を支払うとなると雇用主はいろいろとやっておかなければならない事務手続きがあります。

起業後、初めて誰かに給与を支払うこととなった経営者が知っておくべき事務手続きをお伝えします。

はじめに
給与を支払うことになった場合は届け出が必要!
源泉所得税とは?
源泉所得税の納付期限
源泉所得税の納付方法
税金以外の手続きは?
おわりに

はじめに     

起業したての経営者の方から人を雇う話をお聞きしたときに、求人についてはご自身で業界にあった方法をご存知のケースが多いですが、事務手続きについては何をすべきなのかわからないという方が大勢いらっしゃいます。

特に税務署への届出等はご存知でないことも多く、税金の徴収についても知らないまま額面金額を払われていたというケースもあります。

後から知らなかった!とならないように、手続きをしっかりおさえておきましょう。

 

給与を支払うことになった場合は届け出が必要!

起業後、初めて給与を支払うことになったら、その事実を税務署へ届け出なければなりません。

個人事業主が、起業してすぐに人を雇用する場合は、「個人事業の開業等届出書」を提出する際に同届出書内にある「給与等の支払状況」を記載することにより給与支払を開始することを届け出ることになりますが、起業後しばらく経ってから従業員を雇用し給与を支払うこととなった場合は、給与の支払事務を取り扱うこととなった日から1ヶ月以内に「給与支払事務所等の開設届」を提出することになりますので、忘れないように注意しましょう。

法人の場合は、「法人設立届」に給与の支払状況に関する欄がないため、必ず「給与支払事務所等の開設届」の提出が必要になります。

この届出書を提出すると、税務署から源泉所得税の「納付書」が送られてきます。これは、給与から徴収した所得税を納付する際に使用します。

※個人事業主が家族に給与を支払う場合は別途「青色事業専従者給与に関する届出書」が必要になります。

 

源泉所得税とは?

給与を支払う場合、額面金額から一定の金額の所得税を差し引いて支払うことになります。

従業員へ給与を支払う際に、支払者側は支払う給与に見合った所得税を預かっておく義務が課せられています。これを源泉徴収義務といいます。

徴収しておくべき所得税を引いていないとなると、税務署から指摘を受けて雇用者が税務署へ源泉所得税を納めなければならなくなります。

正しく源泉徴収を行うには、「源泉徴収税額表」(←毎年発行されてます)という国税庁が発行している資料を見ていただくことになります。

源泉徴収する金額は、従業員がメインで働いているところか否かや給与を月払いするのか日払いするかなどで変わってきますので、「源泉徴収税額表」にはこれらの区分に応じた税額が記載されてます。

 

源泉所得税の納付期限

源泉所得税の納付方法は2パターンあります。

源泉所得税は従業員へ給与を支払った月の翌月10日までに納めるのが原則ですが、従業員が10人未満であれば、1月~6月までに預かった源泉所得税を7月10日までに、7月~12月までに預かった源泉所得税を1月20日までに納めるという年2回の特例制度もあります。

納付の手間を省きたい場合は、半年に1回が楽ですが、忘れてしまいそうという方や半年分となると金額が大きくなってしまって不安という方は、毎月納付にされるケースもあります。

半年に1回納付のパターンを希望される場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」という書類を税務署に提出する必要があります。提出したらすぐに適用を受けられる訳ではなく、提出した月の翌月に支払った給与に係る源泉所得税からの適用になりますので、出すタイミングには注意が必要です。

最初から半年に1回の納付を希望される場合は、上記の「個人事業の開業等届出書」又は「給与支払事務所等の開設届」と合わせて提出するようにしましょう。

 

源泉所得税の納付方法

起業して初めて源泉所得税を納付する際は、どのように納付するかご存知でない方がほとんどだと思います。

源泉所得税を納付する際には、前述している税務署所定の納付書を使用しますが、従業員へ支払う給与から預かった所得税(源泉所得税)を毎月納付するか、半年に1回納付するかによって使用する納付書の種類が異なります。

届出書の提出状況に応じて、使用すべき納付書が税務署から送られてきます。 失くしてしまった場合などは、最寄りの税務署で発行してもらうことが可能です。

納付書に給与の総額や預かった所得税の金額を記載し、郵便局や銀行で納付することになります。

期限までに納付していないと、遅れた日数に応じて延滞税がかかったりしますので期限までに必ず納付しましょう。

ダイレクト納付といった指定口座から振替による納税方法も選択することもできますが、この場合には、納付書に記載すべき情報を電子申告する必要があります。

 

税金以外の手続きは?

従業員を雇用する場合、税金以外にも手続きが必要になります。

例えば、労災保険に加入したり、雇用保険の手続きをしたり、社会保険に加入するかどうか検討したりということがあります。

労災保険は、従業員を一人でも雇ったら加入しなければなりませんので、管轄の労働基準監督署へ行って手続きをしましょう。

雇用保険は、週20時間以上勤務する方を雇用した場合には加入手続きが必要になります。

起業してから初めての手続きの際は、税務署と同様に従業員を雇った事業所として開設届のようなものが必要になります。

社会保険は法人の場合強制加入ですが、個人事業主の場合は従業員5人未満であれば加入しないことも可能です。

 

おわりに

起業してすぐの頃は、いろいろと手続きも多く、人手が足りなくて人を雇ったタイミングなどは事業の方も忙しいため、様々な手続きが後回しになったり、し忘れてしまうことが起こりかねません。

起業に際して、税理士などの専門家に相談していると必要な手続きを案内してもらえたり、代行してもらえたりします。

せっかく雇った従業員とのトラブルを避けるためにも、また、税金等の納付遅延による罰金を課されないためにも、必要な手続きを忘れずに行っていきましょう!

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