創業融資を日本政策金融公庫で受けるために必要な創業計画書には、1創業の動機、2経営者の略歴等、3取扱商品・サービス、4取引先・取引関係等、5従業員、6お借入の状況、7必要な資金と調達方法、8事業の見通し、の欄をそれぞれ埋めていく必要があります。
今回は「3取扱商品・サービス」について記述します。ここでの記入内容が、「取扱商品・サービスの内容」「セールスポイント」「販売ターゲット・販売戦略」「競合・市場など企業を取り巻く状況」の4つに分かれていますのでそれぞれの記入内容について記載していきます。
「取扱商品・サービスの内容」についての記載例として、日本政策金融公庫が作成しています「創業の手引き」には、①婦人服 約50点揃える。価格3,000円~20,000円(売上シェア 60%) といったように具体的な記述がされています。単に、①婦人服 (売上シェア 60%)とだけ書くのではなく、具体的な想定在庫量をイメージすることで具体的な運転資金の準備額が想定でき、創業計画書の後段で記載が必要となる「7 必要な資金と調達方法」の必要な資金の記述にも繋がります。
また、価格帯を具体的に想定することで、売上高は単価×数量であることから、売上高の予想や投資回収の回転イメージにも結び付くでしょう。
例えば、サービス業の方は具体的な取扱商品がありませんが、提供しようとするサービス内容を出来るだけ具体的に記述し、単価や予想顧客数等を想定することにより売上げや資金繰りのイメージへと結び付けることが出来るでしょう。
「取扱商品・サービスの内容」に次いで、「セールスポイント」の記述が必要となります。同じような商品や同じようなサービスを取り扱うお店や会社が非常に多い中で、お客様に自社を選んでもらえる特徴を商品やサービスに持たせることは事業を成功させるうえで非常に重要なことです。成功している会社には、取扱う商品や分野で同業他社に負けない機能や品揃え、真似のできないサービスの内容や提供方法の工夫等々の優位性が必ずあります。
そこまで大そうな特徴はないという会社でも何らかのお客様に喜んでもらえる特徴があるはずです。もしなければ創業に向けて、どの部分を「自社の売り」にしていくかを必ずじっくり検討しておくべきです。
上記のセールスポイントとしての自社の特徴が定まれば、販売ターゲットも販売戦略もおのずと明確になってくるはずです。自社の特に売り込みたい商品やサービスの内容に基づいて、ターゲットとなる層(性別や年齢、学生、主婦、サラリーマン、経営者等の別、所得層等々)を明確にし、立地や販売方法、広告手法をどうするかを明確にしていきます。
この部分は客観的な情報やデータに基づいて競合他社や自社を取り巻く市場は現状どのようになっているかを冷静な目で分析してください。その結果を受けて、自社がこのタイミングでこの立地に先に記載したターゲートを狙って創業する意義がある旨を記載してください。
以上、取扱商品・サービスについて記載内容を簡単にまとめさせていただきましたが、その中でも最も大切なのはやはり自社のセールスポイントです。どのような秀でた特徴を自社で取り扱う商品やサービスに持たせることができるかが以後の事業の成否を大きく左右することは間違いありません。
創業計画書の作成のご支援の中で弊社もお手伝いをさせて頂く部分でもありますが、創業者ご自身が熟慮を重ねるべき非常に大切なポイントと言えます。