起業後の融資の成否を左右する最も大きな要因は事業実績です。
融資審査としては起業時よりも厳しくなりますが、融資を申し込む際に知っておくべきタイミングやポイントがあります!!
日本政策金融公庫から融資を受ける場合、最も融資が通りやすいのは起業時です。
起業時であれば日本政策金融公庫の「新創業融資制度」で無担保無保証の融資を受けることが可能です。
弊社はこの新創業融資の相談を受けることが多いのですが、この起業のタイミングを過ぎてから融資を申し込む場合や、日本政策金融公庫から融資を受けていた方が再度融資を受ける場合にはどのタイミングが良いかについてもよく相談を受けます。
今回のコラムでは起業後に融資を申し込む際のポイントやタイミングについて解説させて頂きます。
起業時の融資は過去の事業実績がないため、起業に向けてどれだけ準備をしてきたかといった既成事実、例えば自己資金をどれだけ貯めてきたかとか事業計画をどれだけ綿密に作成しているかといった要件等で融資審査が行われます。
実績を問われることなく、事前準備に基づいて要件を満たせば融資を受けることが可能であることから、起業時は融資を受けやすいタイミングと言えます。
事業がスタートしてしまうと実績が数字となって表れるため、書面上の問題では済まされなくなります。
起業のタイミングを過ぎてから融資を申し込む場合は、融資審査で最も重要視されるのは前述した通り「事業実績」です。
事業実績は数字に表れると表現しましたが、主に過去の決算書の数値が融資審査で確認されることになります。
このように起業後の融資審査においては決算書が重視されることから、融資の申し込みは決算が確定して数字が確立した状態で申し込む方が審査してもらいやすい傾向にあります。
しかし場合によっては赤字となってしまう等悪い状態での決算が確定してしまうこともあり得ます。
そのような場合には決算を迎えるまでに融資を申し込む方がよいケースも出てきます。
融資を申し込むタイミングは資金需要の高まるタイミングだけでなく業績も含めて考えて頂く必要があります。
起業後の融資審査については実績が重視されることから、赤字が続いており事業好転の兆しがない状態では融資を受けることが難しいと言わざるを得ません。
起業後に融資を受けたい方の多くが状態が悪くなってから慌てて融資の申し込みをされているのを見受けます。
確かに起業後は実績重視の融資審査となることは間違いありませんが、事業が好転する見込みや好転のための施策を金融機関に伝えることが出来れば融資が通る可能性は高まります。
口頭や書面にてしっかり伝えることが出来ればいいのですが、経営計画書(事業計画書)があればさらに有効となります。
当然、定性面及び定量面の両者を兼ねそろえた実効性のある経営計画書でなければなりません。
経営計画書は、経営者の経営姿勢を表すものとしても評価されます。
以前、弊社のお客様で経営状況からすると融資は難しいと思われた方が、融資の申し込みに際して事業計画書を提出し、金融機関の担当者に計画内容を熱意と共に伝えたところ、非常に熱心に担当者が対応してくれて希望通りの額の融資が通ったということもありました。
融資に際して経営計画書が必ず必要というわけでは当然ありませんが、融資の為というわけではなく、また事業規模の大小にかかわらず、自社の経営の方向性を確立するためにも経営計画書の作成は重要と思われます。
しかしながら経営計画書を作成されていない方は事業好転の見込みや施策を融資の申込書面等に詳細に記述し、必ず返済できるという意気込みも含めて伝えて頂きたいと思います。
弊社が融資の斡旋業務として特に力を入れている日本政策金融公庫にも起業後の事業者を対象とする様々な融資制度があります。
商工会議所の指導を受けていることを要件とする「マル経融資」、女性やシニア向けのものや廃業歴がある方を対象とする「再チャレンジ支援融資」等々、HPに詳細な説明があります。
また、起業後は弊社のような認定支援機関(※)の指導や助言を要件として低利にて融資を受けられる「中小企業経営力強化資金」を利用することも一考です。
起業後の融資の成功確率を高めるためにも融資の申し込みに際し認定支援機関に相談することは是非ともお勧めしたいところです。
※認定支援機関とは、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や実務経験が一定レベル以上のものに対し、国が認定する公的な支援機関のことを指します。
日本政策金融公庫から融資を受けたことがある方が再度日本政策金融公庫から融資を受けようとする場合は、融資完済後であれば完済後から3年以内がお勧めです。
3年以内であれば前回の融資審査の内容が既歴として残されており、非常に早く審査が行われます。
3年を過ぎると前回同様の詳細な書面の準備が必要となります。
また日本政策金融公庫から融資を受けてからそれほど期間が経っていない方が再度融資の申し込みを希望する場合、早くても約3割程度の返済が済んだ頃でないと追加融資は難しい傾向にあります。
完済後及び完済前の追加融資を申し込む目安となるタイミングをご理解ください。
融資審査の基準として最も大切なのは、融資した資金の返済を確実に受けられるかどうかということです。
起業時には自己資金や事業計画等で融資を受けることが可能ですが、起業後は事業実績が問われます。
今回のコラムでは融資の申し込みに適したタイミングやポイントを紹介してきましたが、業績が悪くなったタイミングでは返済するだけの体力を証明することが難しくなります。
もちろん業績が悪くなったタイミングが資金需要が非常に高まるタイミングであることは当然ではありますが、そうなる前に資金手当てのための行動を起こしておかなければ手遅れになります。
金融機関も支援がしたくても出来ない状態になってしまうのです。
ギリギリになってなんとか融資を受けられる方策を模索するのではなく、早め早めの行動を心掛けて下さい。
出来るだけ借入利息を抑えた経営を推奨される見解もありますが、経営は不測の事態がつきものです。
資金繰りに困るくらいなら借り入れをしてでも少し資金繰りに余裕のある状態で経営に臨んで下さい。
資金繰りの悩みは、経営者から活力や柔軟な発想を奪ってしまいます。
京都 創業融資・創業支援フルサポートでは、日々多くの融資や事業に関するご相談をいただく上で、創業に関するご相談はもちろん、ご相談者様の事業成功に向けて適切なアドバイス・融資実行サポートを実施させていただいております。
初回相談は無料ですので、お気軽にお問合せ下さい。